今年で3回目となった那須フロンティアフォーラムが、H14年11月17日(日)黒磯市文化会館小ホールで開催されました。今年のテーマは「今、働くことが問われている〜人生の豊かさを求めて」。私達のコンセプトとしては「働くお父さんを応援したい。応援するぞー!」というものだったのですが、当日は121名もの方に参加いただくことが出来ました(数的には昨年には及びませんでしたが、このテーマでこの参加はなかなかでして・・・)。

特別講演

 
講演では、労働問題に詳しい弁護士の川人博さんと自治医科大学教授で精神科医の加藤敏さんをお迎えしお話しいただきました。

 川人さんは『過労死と過労自殺』というテーマのもと、日本の自殺者が年間3万人を超える「自殺大国」である現状と(過労死110番という相談活動を通して)日々向き合い、過労死や過労自殺が、決して個人の抱える問題ではなく、社会全体の、そして個人ひとり一人が考えるべき問題であると話されました。当事者・家族の立場にたって真剣に話される姿に感銘を受けた方も多かったことと思います。

 加藤さんは『仕事のよろこびとストレス〜心身医学の見地から〜』をテーマに、時代の変遷と社会病理、そこで生れる仕事(活動)とストレスの関係について様々な資料(音楽までが資料になるなんてスゴい。)を用いて詳しくご説明くださいました。その中で、適度なストレスを受けること(“仕事という役割に身を置く”“そこから離れて自由になる”ことの円環性を保つ)やマイナス思考をプラスに転じる心構え、対人関係の中での認め合いが心身の健康を保つ上で大切であるということを話されました。普段の生活にも役立つヒントをいただいたように思います。

ディスカッション

 
ディスカッションでは、お二方とともに当法人副理事長の的場政樹がコーディネーターを務めさせていただき、様々な意見が交わされました。その内容は・・・日本特有の現象と思われていた過労・自殺問題ですが、グローバリゼーション(世界的規模)の視点で見た場合、アメリカを中心とした先進工業国にも共通して見られる状況があるといいます。ただ、日本が大きく違うのは数的にも質的にも深刻であるということ。日本人のこころの構造が(世代ごとに変化しつつあるとは言え)‘勤勉の徳’に因るところも多いため、それが生活の全てとなり仕事と個人の時間とのバランスがとりにくくなっているというのです。 そして、この問題を解決していくためには「個人としての問題(こころの有り様等)」と「会社・社会としての問題(システム等)」の両面からの議論が必要であり、そのためにも専門家や会社側等含めて、今後どう変えていくべきかを考えることが大切であるとの見解に至りました。ひきこもりに関する様々な立場の方がシンポジストとして参加し、これまでの取り組みや今後の活動について意見が交わされました。

質疑応答の一部をご紹介します。
 
企業におけるメンタルへルスの現状はどのようになっていますか?
最近は、産業医や産業カウンセラー等の導入が進められつつあります。ただ、“働く方にとって”というより、企業戦略上の必要性のみで配慮される形となってしまい、充分に生かされていない部分もあるといえます。そのため、今後は(適切な対応がなされているか等)第三者機関のチェックなども必要になってくるかと思います。(川人さん)
社会全体において“過労死・過労自殺”に対する問題意識の広がりはどうですか?
現在はプライバシーの問題等による情報開示の制限・遅延があり、大々的に取り上げられること、一般的に目にされることが少ないというのが現状です。しかし、プライバシーへの配慮をしつつ、現実の社会に起こっていること、身近な問題であることを皆が知り、理解していくことが状況改善の基礎条件となるでしょう。 (川人さん)
過労の問題等からこころの病になることもあると思いますが、家族や周囲の人の接し方や気をつける点があれば教えてください。
人間は誰しも人に認められたいという願望を持っています。ところが心の病を持った方の多くが、他者に認められるという状況には置かれていません。まずは家族や身近な人が一つでも良い面をその方に見つけ引き出してあげる、認めてあげる、分かち合うこと、そういう信念を持って接するだけでも違うのではないでしょうか。(加藤さん)

 そして締めは昨年にひきつづき、千賀明三さん・太郎くん親子のギターとブルースハープの演奏。太郎くんは中学1年生になりますますハープの腕を挙げ、明三さんは気さくながらも演奏には厳しい。さすがはプロです。疲れた身体を心地よーくほぐしつつ、元気になれるのです、これが。(1度はライブに行かれることをオススメ!)


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