第5回那須フロンティアフォーラム 障害の枠を超えて
平成17年2月13日(日)、那須塩原市黒磯文化会館にてフォーラムを開催いたしました。
今年はひきこもりをテーマにした映画「home」の上映会と、実際に映画に出演された小林博和さんと精神科医の関口宏さんの対談が行われました。
映画「home」
部屋の中に突然鳴り響く電話。監督である小林さんは、この電話により離れていた実家に帰ることに。その家には7年間ひきこもっている兄、鬱病の母、末期がんの祖母がいる。
父はそこから離れた埼玉にいた。
家に帰ると、そこに待っていたのは以前と変わらない兄と母の姿。弟は兄に向かっていく・・・。
ひきこもりという言葉は随分周知されるようになりましたが、その実際はまだまだ伝わっていないのが現状です。
これをみて、ひきこもりの問題を身近に捉え、生きやすいようにするためにはどうしていったらいいかを考える機会となりました。
対談 小林博和さん・関口宏さん(精神科医)
対談では、映画についての解説とともに、ひきこもっていた頃の小林さんの気持ちやご家族との関係について、またひきこもりという状況についてのとらえ方(解説)についてお話いただきました。
ひきこもりは状況の病気であって純粋な精神疾患とは違うこと、またそのきっかけは多くの場合はじめから明確な理由があるわけではなく、後になってようやく思い起こされるものだといいます。そして小林さんの場合は、安心してひきこもれる環境にあったからこそ、自分を客観的にみられる余裕ができ次に歩むことできたのかもしれないと話されていました。 また「いつも現在進行形。いつ戻るかっていう不安との戦いなんですよ。」という言葉には、ひきこもりが過去の一エピソードでは終わらない長期的な問題や課題をはらんでいるものであると強く感じました。
フォーラム終了後の声
・ ひきこもりの実態、対応の仕方、ひきこもっている時の本人の気持ちが理解できて、根っこにある家族の問題を見直す良いきっかけを得られました。
・ チケットの販売がホリデーと黒磯市役所しかなかったので、他の役所でも販売して頂けたらと思いました。
・ とてもリアルで、親の気持ちは同じ親として分かったが、当事者の気持ちは他からの言葉で頭では分かってはいたが、まっすぐな気持ちに感じた。弟君の思いが良く伝わった。
・ 毎年参加しています。自分自身、家族のためになり、いつも勉強させられ嬉しく思っています。わが子がまだ小さいので、託児があるのもとてもありがたいです。
- ひきこもりの実態、対応の仕方、ひきこもっている時の本人の気持ちが理解できて、根っこにある家族の問題を見直す良いきっかけを得られました。
- チケットの販売がホリデーと黒磯市役所しかなかったので、他の役所でも販売して頂けたらと思いました。
- とてもリアルで、親の気持ちは同じ親として分かったが、当事者の気持ちは他からの言葉で頭では分かってはいたが、まっすぐな気持ちに感じた。弟君の思いが良く伝わった。
- 毎年参加しています。自分自身、家族のためになり、いつも勉強させられ嬉しく思っています。わが子がまだ小さいので、託児があるのもとてもありがたいです。
今回のフォーラムには324名もの方にご参加いただきました。参加された方々の年齢も幅広く、多くの方が興味を持ってくださったのと実感しました。アンケートにも多くの方にご協力をいただきました。これらのご意見等は、来年以降のフォーラムの参考にさせていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。
精神保健福祉ボランティア講座実施報告
今年の精神保健福祉ボランティア講座では多くの地域の方にご参加頂き、誠にありがとうございます。無事5回の講座を終了することが出来、受講者の皆様が最後まで熱心に受講して頂き、大変うれしく思います。
講座を重ねていくにつれ、受講者の方の精神障害に対する認識に対して、「誰でもなりうる身近な問題」であると理解してくださる方が多かったように思います。それにより、「そばにいるだけで心地よい関係つくり」や、「相手の話を聴く」と言う事の重要性に気づく方が多くみらたことを心強く思います。
さらに当事者とのグループディスカッションの経験談から「頑張れと言って欲しくない」「そっとして欲しい。」「話を聞いて欲しい」等の当事者達の声が後押しとなり、一緒にいられる安心感のある関係つくりが重要であることを、より一層理解される受講者が多かったのではないでしょうか。
また講座後のご意見として
(1) メンタルヘルスの問題は乳幼児期から老年期まで幅広い関心がある。
(2) もっと具体的な精神保健福祉ボランティアの活動の場や内容はどのようなものがあるのか。
(3) ボランティア体験・実習など、より実践的な講座内容が欲しい。
以上3点の意見を多く頂きましたので来年度以降の課題としまして、検討を重ねたいと思います。
今回の講座では具体的な活動の場や内容をご案内できませんでしたが、今回の講座を受講し、皆さんの生活に活用できる事が多くあると思います。また精神障害を持ちながらも地域で生活していくためには、地域の皆さんの理解と地域社会との関わりが何よりも必要となります。皆さん一人ひとりの生活の中で、少しでも精神障害に対して正しい知識を広めて頂くことを期待し、誤解や偏見を少しでも軽減できればと思います。
受講者の声
- 私に出来ることは何か。それは私自身がホリデーへ行って楽しむこと。悩みはみんなあるもの。病気や障害について、誰にでもなりうる身近な問題であることを知る事が重要。最後のグループディスカッションはとても良かった。
- 何となく分かったような気がする。黒磯市にこのような所があることもわかり、ホリデーに行ってお茶したいと思う。何かできることがあればいいなと考えている所である。
- 非常に勉強になりましたが、実のところ精神障害者の方に接したことがないので、今一ピンと来ない部分があります。障害の程度、個人差等難しい面が多々あると思われるので、経験することが重要と思う。
- ボランティアとは何かを考えさせられた。
- 相手の思いにそって、話を聴くことや何も言わなくても、そばにいることが大切だと分かりました。
- 知らなかったことを知るということは大切なことと感じます。社会に少しでも役立てる事をしたいと思う。この講座を機会に精神保健福祉についてより学びたいと思った。
- 実際のボランティア活動を通じて学んでいきたいと思う。
- 精神保健福祉とはとても難しくて、また沢山の人が苦しんでいるのであると感じた。少しであるが理解できた気がする。ボランティアに繋がっていくのか分かりませんが、機会があればやってみようと思う。
来年度以降も継続的に地域の皆様に向けた精神保健福祉やボランティアに関する講座の開催を予定しています。皆様から頂いたご意見、ご要望を元に検討を重ねて行きたいと思います。ご協力をよろしくお願いいたします。