第8回那須フロンティアフォーラム 障害の枠を超えて
「こころと組織の健康づくり~仕事のストレスを抱える前に~」開催報告
平成20年2月10日(日)、黒磯文化会館にて開催した。今回は「職場のメンタルヘルス」をテーマに国立精神神経センター名誉所長の吉川武彦先生と帝京平成大学院教授の森崎美奈子先生を迎え、講演会とパネルディスカッションの2部構成で行った。
第一部 吉川先生講演
「ストレス社会を生き抜く~いま、なぜメンタルヘルスが求められるか~」
職場のメンタルヘルスを考えるときに仕事量や質の問題、人間関係の難しさの問題もあるが、ストレスをどう認識するのかという問題もある。自分がだめだからもっとがんばらなくてはならないと思うことで、自分がストレスにさらされていることに気づいて欲しい。
自分をコントロールできる自制心、自分の力を見極めることのできる自己認識、他者がどんな状況か認識できる他者認識が育つことが大切である。
そして、傷ついている人、悩んでいる人がいたら手を差し伸べられるようなお互いが支えあう社会であるべきである。とのお話をいただいた。
第二部 パネルディスカッション
「職場でのメンタルヘルスの実践~組織として取り組めること~」
前半の森崎美奈子先生の講演では、労働者健康状態調査の結果から人間関係がストレスの原因で多いことが挙げられた。
また、若年層(30代)のこころの病が増加傾向にあることに触れ、コミュニケーションの減少など、職場環境のあり方が問われているとした。
リスク管理としてのメンタルヘルスが必要であることメンタルヘルス活動はプロだけの領域ではなく誰にでもできることをお話いただいた。
後半は、吉川先生、森崎先生、那須フロンティア理事長を交えパネルディスかションを行い会場からの意見・質問に答えていただいた。
会場より
「福祉の分野では派遣社員が多くメンタルヘルスがいきとどかない」
森崎先生
「派遣社員は、労働条件が厳しい一方でその労働に見合った給与をもらえていない現状があり、メンタルヘルスの問題が起こりやすい環境であるといえると思います。現在では、派遣会社自体が、派遣する社員のメンタルヘルスを考えだしています」
会場より
「悩んでいる当事者にどう接したらよいか」
吉川先生
「個別的に考えることももちろんだが地域にどんな相談機関があるか整理しマップを作っておくことなど組織として取り組めることも多くある。」
理事長
「市町村と企業がつながりを持ち、職場のメンタルヘルスをまちづくりの一環として考えていくことが大事なことであって、まちがメンタルヘルスを大切な問題と思えことが重要である。」
まとめ
職場のメンタルヘルスについて大きな企業では取り組みが始まったところが増えてきたが中小企業では認知度が低いこと、また職場でのうつ病の問題が深刻化していることから今回このテーマでフォーラムを行いました。
当日の参加者は99名と例年に比べると少ない人数でしたが、パネルディスカッションでは、活発な意見のやり取りがあり、関心の高さが伺えました。
今回のフォーラムを通じ参加された方が、メンタルヘルスの問題をまち全体の問題として身近に感じていただければ幸いです。
フォーラムを開催するにあたり、後援・協賛にご協力を頂いた方々およびボランティでお手伝いいただいた方々に、深くお礼申し上げます。
今後も地域の皆さんの要望に沿った公益性の高いフォーラムの開催を目指していきたいと考えております。